無機質素材

 

インテリアの構成要素は形や色だけでなく、素材が何ででいているかも重要です。

 

写真は階段手すりのブラケット。機能美に惚れて購入しちゃいました。

ステンレスは僕のデザインの中で好んで使用してます。

 

そんなステンレスも使いどころを間違えると住環境を悪化しかねません。

例えば金属は冷たい感じがしませんか?

それは人のある経験からそう思わせます。

それでは、なぜ金属に触ると冷たいと感じるのでしょうか。

 

答えは人の体温が金属に伝わってしまうからで、金属は熱伝導率がとても高い物質なんです。

熱伝導率とは字のとおり「熱の伝わりやすさ」のことで、数値が高いほど熱が伝わります。

 

人の体温が36度とすると、表面温度がそれ以下の金属に触ると熱移動を起こし冷たく“感じる”ようになります。

逆を言えば空気はとても熱伝導率が低いので人体よりも低い温度の空気に手をかざしても、熱移動をほとんど起こさないので何も感じません。

断熱材がフワフワしているのは熱の伝わりにく空気層をつくるため。

だからぎゅうぎゅうに押し込んだら空気層がなくなって機能低下を起こします。

 

 

この知識はインテリアを考えるときの床材選びにも使えます。

 

例えば針葉樹の桐のように柔らかい木材には空気層がたくさんあります。

だから裸足で乗っても熱移動がさほど起きないので冷たいと感じることがありません。

木の断面写真…ちょっと気持ち悪い

ですが広葉樹で人気があるウォールナットのような硬い木材は、

ぎっしりと目が詰まっており空気層が少ないので、熱移動を起こし冷たく感じようになります。

 

金属の床ともなると考えただけで恐怖ですね。笑

 

ということで金属はあまり室内空間で使われることが少ないのですが、私は金属が好きなので使います。笑

 

しっかり断熱して、無機質でクールな空間を作っても素材の使い所を間違えると、暖かいのに冷たく感じる?おかしな空間に…

この記事を書いた人

竹内恵一
竹内恵一空間デザイナー
1987年生まれ|2級建築士・東京にてショップデザイン専攻
地元長野に戻ってからはグラフィックを扱う企業へ就職するも、空間デザインの世界が諦めきれず、数年後には起業を果たしBlackPepper LLPを設立。軽井沢の別荘建築で現場の経験も積みながら、デザイナーとしての道へと本格的に歩みを進める。2017年6月には株式会社BlackPepperを設立。同社取締役デザイナーとして、主に住宅・店舗設計を手がけている。

一見、住宅と店舗ではかけ離れているような分野だと思えるが、考え方や求められていることが違う分、別視点からの柔軟な発想を両デザインに落とし込むことができている。今もなお両立しているこのスタイルは妥協のない空間づくりへの姿勢の表れであり、今後も理想を描き続けるための核とも言えるだろう。