House【2倍断熱について】

 

「2倍断熱」なにそれ?初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?

我々の業界では付加断熱なんて呼ばれていますが、私の師匠でもある一級建築士の小嶋先生が、「付加断熱って名前がよくない!何をやってんだかお客さんに伝わらない!!」ということで「2倍断熱」というネーミングをつけました。

私もまだ言い慣れない…笑

在来工法だと柱の間に105mm断熱材を充填するのがスタンダードなやり方ですが、壁の外にも105mmの断熱をプラスで入れることで、210mmの断熱層を作っています。

有名どころだと一条工務店さんが、2倍断熱ではありませんが「ダブル断熱」という名前で190mm断熱をやっていますね。余談ですが、大手ハウスメーカーでここまでやっているのは本当に偉いです!!もし、私が大手ハウスメーカー以外で選ぶ気がない方におすすめするなら、間違いなく○条さんですね。

 

話を戻して。

2倍断熱でもダブル断熱でも、これをやるとそれなりにコストがかさむので、いわゆる坪単価は高くなるわけですが、私たちは標準設計で最初からプランに組み込んでいます。

何故かって、コスパがいいから¥

私は住宅選びをされているお客様にこんな質問をしています。

A・初期コストが高くてランニングコストが安い。
B・初期コストが安くてランニングコストが高い。

どちらがいいですか?

どちらも10年間で支払う金額は同じだとします。金額が同じならどちらもそんなに大差がないようにも思えますが、じつはこの2択には天と地との差があります。

10年間、暖房費はかかるのに家中があたたまらなくて部屋を移動するたびに寒い思いをして過ごすのと、暖房費が驚くほど安いのに家中どこにいても暖かく快適に過ごせるのでは、生活のストレスが大きく異なります。

さらに、10年後の損益分岐点を迎えたあとも変わらず快適に過ごしながら、安いランニングコストを維持します。20年、30年、と住めば住むほどお得なのが2倍断熱というわけです。結果が安くなるとわかりきっているのに、お客様にコスパの悪い方をおすすめするのはナンセンス。

 

 

例えば今から40年ほど前には、家にお風呂があるお宅は6割ほどでした。
さらに、複層ガラス(ペアガラス)が登場したのは今から30年前です。

その当時は、予算がないのでお風呂はやめておきましょう!とか、ガラスは単板(一枚)ガラスにしましょう!なんて、ハウスメーカーの営業が当然のように話していたのだと想像しますが、現在そんなプランニングする会社はないはずです。もしかしたらあるのかな…?笑

でもお客様自身も予算がないから風呂はやめようなんて発想すらないかと思います。

 

30年、40年するとその頃の常識は一切通用しないのが住宅業界。

ですが家を建てれば30年、40年と住むことになりますよね。だからこそ、今できる最高の技術を標準で設計するのは、メーカーとして当然の義務だと考えています。もちろん予算のことを考えればお客様に最大限よりそってご提案いたしますが。

付加断熱は身内に借金してでもやる価値がある!ぐらいの強烈なメリットをもたらします。

ちなみに日本人は生涯住宅にかける費用が世界でもダントツで多いのはご存知ですか?30年ぐらい住んだらリフォームや建て替えをするケースがすごく多いです。

 

 

まぁ、お気持ちはわかりますが…
私だって30年前の木造住宅なんて寒くてそのまま住む気にはなれません…

しかし実際に、新築してウン千万、建替えでまたウン千万とかけてしまってはもったない!そんなことをしなくても、最初から耐震についても最高グレード、断熱も窓も最上級のものに投資しておけば、お隣さんがリフォームにお金を払っている時に、あなたのお宅は家族と海外旅行ができるでしょう。

 

 

それも一回ではなく何回もです!

これから新築やリフォームを計画される方は、初めから坪単価でメーカーを選びをすると損をする可能性大と覚えておいてください!ご自身が選んだメーカーがどんなことをやって、どういうところに力を入れているか、しっかりと見極める必要があります。将来のお財布事情も考えた家づくりをしていきましょう。

この記事を書いた人

竹内恵一
竹内恵一空間デザイナー
1987年生まれ|2級建築士・東京にてショップデザイン専攻
地元長野に戻ってからはグラフィックを扱う企業へ就職するも、空間デザインの世界が諦めきれず、数年後には起業を果たしBlackPepper LLPを設立。軽井沢の別荘建築で現場の経験も積みながら、デザイナーとしての道へと本格的に歩みを進める。2017年6月には株式会社BlackPepperを設立。同社取締役デザイナーとして、主に住宅・店舗設計を手がけている。

一見、住宅と店舗ではかけ離れているような分野だと思えるが、考え方や求められていることが違う分、別視点からの柔軟な発想を両デザインに落とし込むことができている。今もなお両立しているこのスタイルは妥協のない空間づくりへの姿勢の表れであり、今後も理想を描き続けるための核とも言えるだろう。