House 【準防火地域での建築計画】

準防火地域 』とは、建物の防火性能を高めて、火災の延焼速度を抑えるための規制が適用される地域です。

比較的駅に近く利便性の高い住宅エリアがこの準防火地域に該当することが多いかと思います。

 

 

この準防火地域内で建築をする場合には、外部に面する部分にそれぞれ建築基準法で指定された性能以上の仕様を用いて計画をする必要があります。

具体的な方法としては下記になります。

 

屋根:隣地の火災による火の粉から建物を守るため、一定の防火性能を確保しなければなりません。

告示に指定された仕様や大臣認定を受けた仕様の採用が必要です。

 

外壁:延焼ラインにかかる部分の外壁には防火構造以上の性能を確保しなければなりません。

告示に指定された仕様や大臣認定を受けた外壁材や外壁構造の採用が必要です。

 

軒裏:外壁と同様に防火構造以上の性能を確保しなければなりません。

告示に指定された仕様や大臣認定を受けた軒天材や構造の採用が必要です。

 

 

開口部:延焼ラインにかかる部分の外壁に設ける窓、扉、換気口などの開口部には防火設備が必要です。

告示に指定された仕様や大臣認定仕様の開口部の採用が必要です。

また、燃えにくい性能を確保するために、窓の大きさも制限されますのでデザインを考える上で大きな開口が設けられないということもあります。

ご注意ください。

 

門・塀:延焼ラインにかかる部分で木造建築物に付属する高さ 2 mを超える門や塀は、不燃材料で造ること、道に面する部分は 24 mm以上の厚さの木材で造るなどの指定への対応が必要になります。

ちなみに延焼ラインとは、計画地の周囲で火災が発生したときに、炎が燃え広がる範囲を示します。

隣地境界線、道路中心線などから1階では 3 m、2階以上では 5 mの範囲が適用範囲となります。

 

 

以上のようにそれぞれの部分について制限がかかってきます。

仕上げ材や各部仕様の選定は全体のデザインにも直結しますので、準防火地域での計画ではこれらを念頭に検討をしていきましょう。

 

この記事を書いた人

柴田勇介
柴田勇介2級建築士
関東学院大学の人間環境デザイン学科を卒業後、都内のゼネコン会社で5年間施工管理に従事。地元の長野に戻ってからは設計へとキャリアを移し、公共・社寺など幅広い経験を積む。
兼ねてから設計の道を目指していたこともあり、図面から読み解く情報量の多さと着眼点は、現場を経験してきた者ならではの武器ともいえる。