House【家をシロアリから永久に守る方法】

シロアリというのは一部を除いて日本のほとんどの地域に生息し、住宅に甚大な被害をもたらします。
建築基準法や施行令では、基礎の通気・防湿処理の規定があるのはもちろん、土台や柱に使用する木材に対して防腐・防蟻処理を施すことも規定されています。
具体的には、「防腐・防蟻処理を施した木材、またはこれと同等以上の性能を有する木材」を使用することが求められています。

最もポピュラーな防蟻処理としては基礎天端から上方1mまでの軸組範囲にシロアリ防除薬剤処理を行う方法があります。
そして一般的には5年間の保証が付いてくる場合が多いと思います。

しかしふと疑問が…。5年間は安心して暮らすことができても、6年目は?
同じようにシロアリ防除薬剤を噴霧するにしても軸組部分は仕上げ材が貼られ露出していないので、薬剤を噴霧することはできません。
むしろ、6年目以降に軸組部分以外の薬剤噴霧で効果があるなら、建築時にわざわざ施工した軸組の処理に意味を感じません。

以上の理由から、6年目以降の保証に疑問を感じてしまったわけです。

 

 

そこで私たちは上記の防蟻処理を採用しておりません。

代わりに「タームガードシステム」というのを導入し、シロアリ被害から住宅を守っています。

こちらは1987年にオーストラリアで開発された技術になりますが、新築時に、建物基礎外周に沿って薬剤処理用の専用パイプを土中に埋設、そこに薬剤を注入するという仕組みです。

この方法であれば定期的な薬剤注入を行うことで半永久的にシロアリを寄せ付けない住宅を作ることができます。もちろん保証もついてきます。

 

 

このシステムの利点としては、家の中に薬剤を撒かないためアレルギーの心配が軽減され、点検の際に業者を家の中に入れる必要がないことが挙げられます。
初期コストは若干高めですが、再施工にかかる費用は床下にもぐる必要もないので低コストで済みます。

私自身リフォーム案件で何度もシロアリ被害にあった住宅を見てきました。
せっかく手に入れた資産を長期で守り抜くためにも、シロアリ対策は万全に行いましょう。

 

この記事を書いた人

竹内恵一
竹内恵一空間デザイナー
1987年生まれ|2級建築士・東京にてショップデザイン専攻
地元長野に戻ってからはグラフィックを扱う企業へ就職するも、空間デザインの世界が諦めきれず、数年後には起業を果たしBlackPepper LLPを設立。軽井沢の別荘建築で現場の経験も積みながら、デザイナーとしての道へと本格的に歩みを進める。2017年6月には株式会社BlackPepperを設立。同社取締役デザイナーとして、主に住宅・店舗設計を手がけている。

一見、住宅と店舗ではかけ離れているような分野だと思えるが、考え方や求められていることが違う分、別視点からの柔軟な発想を両デザインに落とし込むことができている。今もなお両立しているこのスタイルは妥協のない空間づくりへの姿勢の表れであり、今後も理想を描き続けるための核とも言えるだろう。