House【最新のお風呂は天井がない!?吹き抜け浴室の実態とは】
多くの方が、浴室の湿気による結露やカビに悩んでいらっしゃいます。
浴室に発生する黒カビは専用洗剤を使っても簡単には落ちませんし、毎日水切りワイパーで壁や天井を拭き取るのも手間がかかりますよね。
現代の住宅建築には、これらの悩みを一発で解消できる設計が存在するようです。
浴室、特にユニットバスは「箱型」という固定観念を持っていませんか?
実は大手メーカーのユニットバスであっても、‘天井なし’の状態で発注可能な場合があるのです。浴室の天井をなくして吹き抜け状態にし、家全体を一つの空間として繋げることで浴室の結露を予防するという考え方です。確かにこれなら、脱衣所と浴室の温度差によるヒートショックも防ぐことができます。
最初にこのアイデアを聞いたとき、「浴室の蒸気が家中に充満して、住宅全体がカビだらけになるのでは?」と思いました。
しかし、住み心地の良い家づくりの仕組みを理解していれば、この方法は非常に有効であることに気づくはずです。
冬場に浴槽にお湯を張ると、もくもくと湯気が立ち上ります。これは、浴室が寒い(室温が低い)ことにより起こる現象です。そしてその湯気=水蒸気が浴室の湿度を急上昇させ、それらがなかなか乾燥できずにいるとカビが発生するのです。
天井を設けないことでこの水蒸気が浴室に留まることはなくなりますが、もし家全体が寒ければ、浴室で起きていたのと同じ問題が家中で発生してしまいますよね。
つまりこのプランを採用するためには、家全体が均一に暖かい「高気密高断熱住宅」であることが前提条件になるのです。リビングと同じくらい暖かい浴室であれば、そもそも湯気が立ちません。カビの因子が発生しないということです。
日本の住宅建築のスタンダードとなりつつある高気密高断熱ですが、冬場の乾燥が懸念されてきました。生活空間を十分に加湿するには加湿器を数台設置する必要がありましたが、浴室の天井を解放することでお風呂そのものが大きな加湿器の役割を担ってくれます。
湿度は高いところから低いところへ移動する性質がありますから、浴室で発生した加湿された空気がリビングや子供部屋まで行き届きます。
暖かく広い空間であれば結露も起こりにくいため、高気密高断熱住宅に天井のない浴室を取り入れるのは理にかなっているのかもしれません。
ただし、実際に住んでみないことには本当のところはわかりません。このプランを採用する工務店も増えてきているようですが、特に梅雨や夏場の生活環境や、匂い・音の問題も気になります。私もぜひ体感して検証してみたいと思います。
この記事を書いた人
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父が現場監督、母が設計士、兄が大工という生粋の建築一家で育つ。その影響もあってか、幼少の頃のお絵描きと言えば住宅の平面図や空間パースを描いていたという。高校在学時にはインテリアコーディネーターを最年少取得年齢の17歳で合格する。
将来は機能美とデザイン性が共存する、人々の記憶に残るような住宅を手がける設計士を目指している。
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