House【高断熱住宅は乾燥する?!〇〇で快適な暮らしを実現】 

高断熱住宅は、優れた断熱性により外気の影響を受けづらく、室内の温度を安定させることができるため、年間を通して快適な居住空間を維持できます。

 

高い気密性・断熱性を有する住宅は室内が乾燥すると言われることがありますが、これには大きな誤解があります。

 

よく勘違いされていますが、冬の空気は乾燥しているわけではありません。

長野県のデータでは1月でも平均80%近い湿度があるんです。

なのにどうして冬は乾燥している!というイメージになるのでしょうか。

 

 

冬場の空気というのは湿度低いわけではなく、空気中に含まれる水分量そのものが少ないのです。

そして空気中に含むことのできる水蒸気の量は、温度によって大きく左右されることを中学生のときに習いましたよね。

飽和水蒸気量のことです。

 

つまり冬場の低い温度の空気は飽和水蒸気量が下がるので、大気中にある水分量が少なくても湿度は高い値を示すということです。

そして、この冬の空気が室内環境に取り込まれることによって、飽和水蒸気量が一気に上がり湿度低下を引き起こします。

  

 

すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、高断熱住宅における乾燥問題は、高断熱住宅だから起きているわけではありません。

住まい手が暖房を用いて空気を温め快適な居住環境を求めた結果、生じているということです。

 

つまり、省エネルギーでポカポカな環境が手に入る高性能な家でなければ持てない贅沢な悩みなのです。

ですので、高断熱住宅は乾燥しやすいと一言でいうのは、誤解があると思います。 

 

 

乾燥対策

 

ここで、高断熱住宅で快適な湿度環境を手にいれる方法をいくつかご紹介します。

 

まずは、ご存知の通り加湿器の活用が一番効果的です。

ただし、カビや腐食の原因となる結露には注意が必要です。

特に窓際は外気との温度差の影響を受けやすいため、湿度の上げ過ぎには注意です。

 

 

高断熱住宅では使われるサッシは当然性能の高いものかと思いますが、メーカーによって性能差はあるので、絶対安心というわけではありません。

※ 高性能住宅ではない家の加湿は窓周りだけでなく、家中で結露を起こすのでさらに注意が必要です。

 

 

暖房器具

 

他にも暖房器具を見直すと効果的です。

パネルヒーターや薪ストーブ等の放射型暖房は、輻射熱によって体感温度を上げる暖房器具です。

エアコンなど対流により空気そのものを暖める器具と比べると、室温を上げすぎなくて良いので、湿度が下がりにくいと言えます。

 

また、輻射熱により壁や床が暖められているため、換気等で空気の入れ替えを行った場合も、部屋が急激に寒くなることはありません。

 

 

これらの設備を居室の広さや用途に合わせて使用することで、冬場も快適な居住空間を実現できるでしょう。

 

性能や仕組みを理解すれば、高断熱住宅でのくらしの恩恵をより実感できるはずです。

 

薪ストーブについては、次回の記事で詳しくお話ししていこうと思います。

 

この記事を書いた人

庄村光央
庄村光央インテリアコーディネーター
父が現場監督、母が設計士、兄が大工という生粋の建築一家で育つ。その影響もあってか、幼少の頃のお絵描きと言えば住宅の平面図や空間パースを描いていたという。高校在学時にはインテリアコーディネーターを最年少取得年齢の17歳で合格する。
将来は機能美とデザイン性が共存する、人々の記憶に残るような住宅を手がける設計士を目指している。