Shop 【意外と知らないでやっているかも!建築会社が嫌がること4選】

店舗づくりの数ある問題に対して、デザインに関わるプロの視点からアドバイスをしていくシリーズ。

物販・サービス・飲食などの店舗の開業を目指す方に向け、店舗デザインの考え方をFAQ形式で回答していきます。

 

 

今回のお題は…『建築工事を依頼するにあたって、建築会社さんが嫌がること』について

 

【Question】

 

建築工事を依頼するにあたって、建築会社さんが嫌がることなどありますか?業界のことがわからないので良いパートナーシップを築くために知っておきたいと思いました。

 

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【Answer】

 

ご依頼者様にそのようなお気遣いがあれば基本的には心配することもないと思いますが、下記のような行動を取られると建築会社さんは嫌がることがあるかもしれません。

 

①値段重視(安ければいい)の業者選び

 
建築というのはクリエイティブな仕事です。
設計や工事には携わる人間の創造力が色濃く反映されるので、金額だけで評価するということは、見方を変えれば「あなたたちの創造力はいらない」と捉えられる可能性もあるでしょう。

 

 

クリエターたちは信頼を寄せればどこまでも頑張ってしまう人たちがたくさんいます。
協力してくれる人たちのモチベーションを下げてしまっては、期待した結果を手に入れることができません。
コストが安く済むことはとっても大事ですが、それだけではない「何か」と熱意の持てる会社選びをした上で相談することが大切です。

 

 

②依頼する気のない相見積もり

 
金額の正当性を見出すためにも、複数の業者に見積もりを依頼することは良いことだと思います。
ですが、例えば自分の中ではA社に決めているのに、確認のためにB社にも見積もりをとっておくか。

と考えられる人もまれにいます。
まず理解しておくべきことは、特に建築では見積もりをする作業にもたくさんの時間と経費がかかっているということです。

 

 
きちんと見積作成費として費用を請求する会社でしたら問題ないと思いますが、なかには無料で見積もりをしてくれる会社もあります。

そういう会社に対して上記のような行動は大変失礼にあたるで気をつけましょう。
そして残念なことに会社側もそういうことには慣れているケースもあります。

その場合は出来上がった見積もりは精度に欠けることが想像されます。

断られる可能性があるのでそこまでコストをかけられないというのが正直なところだと思いますが。
結果として、金額の正当性を見出すのが難しくなるので、「安い!」と思っても後からあれこれ追加で費用請求される可能性があるので注意です。

 

  

  

まだまだ日本では、プロに相談することにお金がかからないと思っている方が多いのも、こういう事態を引き起こす原因だと私は考えます。
見積もりをしてもらうのに費用がかかるの?とびっくりするかもしれませんが、私なら見積もり工程にも真剣に取り組んでいただきたいので、費用請求する方を信用しますね。

  

 

③予算をごまかす

 
全体コストが上がらないように、本当のコストよりも安くコスト提示をする方がいらっしゃいますが、これはまずもって無駄なことだと思うのでやめた方がよいです。
悪意のある業者には有効かもしれませんが、そもそもそういう業者には依頼するべきではありませんし、虚偽のコスト提示をしたところで悪徳業者を見破れるとも限りません。
それよりも正確な情報なくしては、建築会社側も案件に対してどこにどの程度費用を割り当てるか計算ができません。

予算を低めに伝えたがばかりに本来求めていたものよりも質の低いものが提示され、結局補正をかけていく作業が発生すると、時間が無駄になるだけでなくコストも上がる傾向にあります。

  

  

④やりたいことがはっきりとしていない

 
これはあまりないかもしれませんが、やりたいことがはっきりしていなければ、計画の道筋が立ちません。いつまで経っても話が進まない事態に陥りますので、ご依頼前にご自身がやりたいことははっきりさせておくことが必要です。

  

  

いくつか例を挙げさせていただきましたが、依頼主様・請負者ともに思いやりを持った行動ができれば良いパートナーシップが築けるかと思います。

参考にしてみてください。

 

この記事を書いた人

竹内恵一
竹内恵一空間デザイナー
1987年生まれ|2級建築士・東京にてショップデザイン専攻
地元長野に戻ってからはグラフィックを扱う企業へ就職するも、空間デザインの世界が諦めきれず、数年後には起業を果たしBlackPepper LLPを設立。軽井沢の別荘建築で現場の経験も積みながら、デザイナーとしての道へと本格的に歩みを進める。2017年6月には株式会社BlackPepperを設立。同社取締役デザイナーとして、主に住宅・店舗設計を手がけている。

一見、住宅と店舗ではかけ離れているような分野だと思えるが、考え方や求められていることが違う分、別視点からの柔軟な発想を両デザインに落とし込むことができている。今もなお両立しているこのスタイルは妥協のない空間づくりへの姿勢の表れであり、今後も理想を描き続けるための核とも言えるだろう。